効果的な歯磨きの難しさ(6)

歯科医院で学ぶセルフケアは、患者さんにとっては「新しい習慣」ですから、当然定着は難しく、またそう感じている歯科医も多いのではないでしょうか。そこで鍵になるのが、以前お伝えしたように「なぜセルフケアは重要なのか」と云う理由を患者さんに本気で納得してもらうことです。

「本気で納得」に有効なツールは、以前にご紹介した口腔内写真です。普段は見えない臼歯や舌側面も写真ならば、しっかりみることが出来きます。そこで患者さんが状況を理解して「これは他人事ではない」と感じることが出来れば、指導者サイドの説明に真剣に耳を傾けてもらえるようになりますし、本当に納得できる提案ならば、患者さんは自ら動いてくれるようになります。セルフケアがおろそかになったと感じた場合は、何度でも写真を見て頂き、状況を説明します。その積み重ねの中で、セルフケアの定着を待てば良いと考えます。

しかし、それでも一筋縄ではいかない患者さんもいます。一度あるいは何度か説明するものの、受け流されたり「時間がない」とか言い訳をされたり…。指導者サイドも「説明はきちんとしたし、同じことを何度も言わなくても…」と挫けてしまったり・・・。歯磨き指導が上手くいかない、よくある末路のパターンです。中でもデンタルフロスを提案する場合には特に顕著だと感じます。

「難しいから大変」「苦手だから出来ない」と言う患者さんに「そうですよね」と共感して合わせてしまい、結局は「まあいいか」と妥協してしまう悪いパターンがあるようです。

しかし、そうした対応は優しさでも思いやりでもありません。確かに共感は大切ですし、患者さんの動作や口腔内状況の問題でどうしても困難な部分は、プロケアの比率を高めてサポートすれば良いでしょう。でも、意識に対する妥協は相手のためになりません。端的に言いますと「歯周病はプラークによる感染症です。歯間ケアを用いてはじめて予防が成り立ちます」「治したい、健康になりたい、美しくありたいと本気で思われるならば、歯間ケアが必須です」「セルフケアは大変です。デンタルフロスの操作は難しいです。でも、努力は必要です。誰のためでもない、ご自身のためなのですから」。

歯科医や歯科衛生士は、そう言い切ってしまって良いと思います。決して突き放すのではありません。本気で患者さんのためを思うからこその言葉です。きっと患者さんの中には「ここの歯医者は冷たい」とか「とりあえずは、今困っている箇所を治すことが先決で、あとは時間があったら」とか言うお話が出てきそうですが、無理をすることなく、焦らず、気長に構えて下さい。これが秘訣のように感じています。



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