効果的な歯磨きの難しさ(5)

歯磨き指導においては、「何を」「どのように」患者さんに紹介していくかについては、教え手側の考えによっていくつかの方針があると思います。大抵は、最初に歯ブラシよる磨き指導を紹介することから始まりますが、大部分の患者さんは、指導したことを素直に受け止めて一生懸命に磨いて下さいます。

しかし、初回の歯磨き指導は患者さんが受け取る印象が特に強いこともあり、かえって磨きすぎによる歯肉退縮を招いてしまうような経験もあります。その経験から全ての患者さんに一律な指導をしてしまう危うさを教えられました。

ブラッシング指導時に用いる染めだし液の付着傾向によって、最初にご紹介するケア用品を選択することが必要と思っています。ここで大切と感じていることは、一度の指導で一つのケア用品の紹介・指導に留めることです。早く結果を出したいと焦るばかりに、あれもこれもと一度に多くをご紹介したくなる事も多々ありますが、患者さんには負担が大きくセルフケアが苦痛に感じてしまう原因になりかねません。

例えば、全顎的に歯面の広範囲にプラークが付着している場合は、従来通りにハブラシをファーストチョイスとして、効率の良い方法を伝えるようにします。しかし、付着部位が歯間部に特化している場合は、歯ブラシではなく、ワンタフトブラシかデンタルフロスを紹介するようになると思います。

平滑面は患者さんの通常の方法で磨けているので、ひとまず歯ブラシによるブラシング指導は行わない方針を立てます。 歯間部の付着エリアが広く、また付着物に厚みがある場合は、ワンタフトブラシを選択し、通常の歯ブラシよりもワンタフトブラシの操作を重視してもらうようにしています。 一方、付着エリアが狭い、あるいは隣接面のみに限局している場合は、デンタルフロスをご紹介することになると思います。

その昔、ブラッシング指導と云うと○○法とか改良○○法とか、型にはまった方法を、出来るまで繰り返し指導をくり返すような指導法が一般的でした。現在では、その方にいつもやっているその方なりの独自の方法で磨いていただき、改良点を見出しその部分を改善するためにはどうしたら良いかをご案内するようにした方が良いように思います。

しかしながら、何十年も無意識にやってきた「行動」をその一部であれ、ある日を境に「変える」ことには、大きなハードルがあるものと思います。そこで大切になることは毎回のブラシング時の意識と云うことになるのではないでしょうか。



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