効果的な歯磨きの難しさ(4)

通常のセルフケア指導では、市販の顎模型をモデルに使ったり、誰にでも当てはまる一般論的なブラッシング指導を行うことが多々あります。決して間違いではありませんが、聞く側にとっては実感の乏しい具体性に欠けた話になってしまう可能性が大いにあるように思います。また、治療台に座った患者さんに手鏡を渡し、口腔内を見てもらいながらセルフ指導をすることもよくありますが、これも落とし穴があります。

患者さんは必ずしも私たちがみて欲しい場所を見ているとは限りません。
例えばパッと鏡を見た時に「あ、こんなところに吹き出物が…」と云うように、注意が分散してしまう可能性を否定できません。

その点、患者さん自身の口腔内写真を見る方法なら、客観的な視点で、ご自身の口腔内状態に対する評価を共有することが出来ます。なにより、一般論ではなく「あなたのセルフケア」を一緒に考えていきましょう」と云う姿勢を共有することが出来ます。

口腔内に個性があると云うことは、ブラッシングもそれに即したものでなければなりません。
例えば、犬歯が歯列から頬側へ突出している場合を考えてみましょう。歯周組織の構造を考えれば、その犬歯は他の歯よりも歯肉が薄いことは明らかです。もし、プラーク除去率が高いと云う理由だけで、加圧振動法による歯磨き方法や横磨きを勧めたら、それは歯肉にとって過剰な負担となり、歯周組織が失われてしまうかも知れません。

患者さんは私たちの云うことを真摯に受け取り、一生懸命に磨く練習をしてくださいます。だからこそ「通り一遍」のブラッシング指導は、逆効果にもなり得ます。私たちは、患者さんの性格から行動力までも想定して発言しなければなりません。

プラークの付着傾向、歯肉が薄いか厚いか、歯列の具合や配列の状態。これら観察情報の共有が「口腔内の個性に合わせた、あなたのためのセルフケア」を患者さんと共に考えるための第一歩となると信じています。



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