むし歯予防~お歯黒の話~(1)

成人の歯科治療では頻繁に使われることはありませんが、小児歯科の分野では「むし歯の進行止め」として使われる液体性の薬品があります。特徴としては塗布した後に歯面が黒く変色する点です。

薬品自体は無色透明なので、手指や皮膚に付着した場合にもその部分が黒く変化しますが、月日の経過と共に薄くなり、黒色は消失します。この治療方法は昔「お歯黒」と言われ、むし歯が無い歯、健康な状態の歯にも使われていました。

これは女性が行う化粧法の一つとして行われていた「お歯黒」です。このお歯黒の起こりは日本古来からあったという説(日本古来説)、南方民族が持ってきたという説南方由来説)、およびインドから大陸、朝鮮を経て日本に伝わったという説(大陸渡来説)があり、定説がないのが現状です。

いずれにしても、日本特有の文化に練り上げ千年以上の永きにわたり日本婦人のむし歯の予防に役立っていたことは驚くべきことだと思います。またこのお歯黒をつける意義としては、むし歯予防だけでなく、江戸時代においては既婚婦人のしるしで、浮世絵にもお歯黒を扱ったものもあり、日本固有の木製義歯にもお歯黒が施されたものがあります。

現在では、乳歯のむし歯治療に使われていますが、この薬品のもう一つの作用に「蛋白凝固作用」があり、例えば象牙質の知覚過敏症に使用した場合、しみる状態が治まり、塗布した歯が黒染します。

さらに、エナメル質の下の層である象牙質には、細かい管状の構造物(象牙細管)が密集しており、その管の先には神経組織があります。象牙質にお歯黒の薬品を塗布してしまうと、この象牙細管を通して神経(蛋白質)に作用して部分的に凝固(部分壊死)を誘起してしまうことがあります。

約30年くらい前には知覚過敏=歯がしみる時、に簡単にしみることが和らぐことから、かなり汎用されていた時期もあったようですが、現在ではこのような乱暴な方法を用いる歯科医院は少ないと思います。

TVコマーシャルでも見かける「知覚過敏用はみがき」やしみる部分を刺激(冷たいものや温かいものなど)から遮断するようにブロックするような治療法(基本的に歯は削りません)を施すことがほとんどですので、安心して受診していただけるとおもいます。



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