歯周病のあらまし(1):歯周病の進行には個人差があります。

日本人の8割が罹患していると言われる歯周病。決して同じではなく、実に様々な病態があると言われています。昭和50年代の日本の歯周治療は、とにかく「みがいて、みがいて、みがき倒す」でした。しかし、ブラッシングを続けても腫れは引かず、やがて歯が抜ける状況になることを、日本の歯科医はしばしば経験していると思います。
  
歯周病の進行は個人によって大きな差があることを明らかにした研究があります。その研究はスリランカ・スタディと呼ばれている調査で、スリランカの茶畑で働く方々を対象に行われた調査です。当時の彼らには、歯をみがくという習慣はなく、もちろん歯科医院もありませんでした。つまり、一切の予防も治療もない状態でした。この環境の中で、歯周病がどのように進行するのかを15年間にわたり追跡し、その結果には驚くべきものがありました。 
 
対象の81%の方々は、15年間にわたり、ゆっくりと歯周病が進行していきました。しかし、注目すべきは、歯みがきもせず健診もない環境の中で、15年間でまったく歯周病が進行しない人が11%もいたことです。さらに、残り8%の人たちは急速に歯周病が進行し、20代からスタートした人が40代ではすべての歯を失った例も含まれています。この結果から、歯周病の進行には大きな個人差があることが初めて明らかにされました。
 
また、アメリカで行われた、中等度から重度の歯周炎患者さんに、同じような治療とメインテナンスを行い、平均20~22年間、長い人は50年間にわたり予後を観察した調査結果もほぼ同様な傾向を示しています。
 
すなわち、83%の患者さんは、ほぼ歯を失わず安定で推移、20%弱の人は歯を失い、特に全体の5%に相当する人は、急速に歯を失っていました。この調査は、同じようなメインテナンスを行っていたにも関わらず、長期間経過後は異なる結果になったという点において、スリランカ・スタディ同様に、歯周病の進行には個人差があることを示しています。この「個人差」について数回にわたり考えていきたいと思います。



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