フッ素と虫歯予防(6):いかに多くのフッ素を長時間、口腔内に保持するか

ウ蝕予防で肝心なことは「いかに多くのフッ素を長時間、口腔内に保持するか」と云う点になります。

日本の歯磨剤へのフッ素配合量が1500ppmFを上限として許可され、ようやく欧米並みのフッ素配合になったといえます。ウ蝕リスクの高い人、例えば治療したウ蝕の数が多い人、矯正中の人や歯並びの悪い人などには朗報です。このフッ素濃度をフルに活用するには使用法も重要です。フッ素濃度が1000ppmFから1500ppmFになったからといって、使用量を2/3に減らす、使用回数を減らす、また使用後の洗口水量を増やしたりしてしまうと、フッ素濃度を1500ppmFにした意味がなくなります。

重要なのは、いかにフッ素を口腔内に保持すかで、バイオアベイラビリティ(※)が重要です。配合量が増えたフッ素の効果を十分に発揮するためには、使用量を守り、使用後の洗口に使う水量も最小限度に抑え、使用回数は多くといった従来と同様の考え方が必要と思います。

ここで一つのエビデンスを紹介します。年齢11~13歳の子ども2.316人を対象に、3年間にわたりフッ素化合物配合歯磨剤の効果を見るための臨床試験を行ったデータがあります。その解析から、歯石の有無とウ蝕の発症との間に興味ある関連が明らかになりました。

試験結果を、「歯石が無かった人」「歯石ができた人」で分類し、DMFSの増加数を見ると、フッ素化合物配合歯磨剤の濃度にかかわらず「歯石が無かった人」のDMFSは11で「歯石ができた人」のDMFSは84と大きな差がありました。歯石形成は、再石灰化と似た反応のため、歯石ができやすい人の口腔環境は再石灰化が促進しやすい環境ということのようです。しかし、再石は多孔質のため、中に細菌や毒素が入り込み除去しにくい、表面が粗いためにプラークが着きやすい、さらに歯石そのものが物理的に歯肉を刺激し炎症の原因となると云う考えもあります。

かねてから言われていた「ウ蝕になりにくい人は歯周病になりやすい」といったことは、歯石ができやすい人は再石灰化環境にありウ蝕ができにくく、歯石により歯周病が起きやすいと考えると、あながち間違っていないように思います。

※バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)とは
本来は薬剤学において、服用した薬物が全身循環に到達する割合を表す定数。ここでは、口腔内に入ったフッ素がどれだけ利用できるかの意味。



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