フッ素と虫歯予防(1):フッ素が再石灰化促進

世界保健機構(WHO)では「先進国の小児ウ蝕減少の最大の要因は、フッ化物配合歯磨剤の普及」と報告し、その臨床研究によると「フッ化物配合歯磨剤のウ蝕予防効果は20~30%」とされています。40~50年前まで、歯科界では「フッ素が歯の表面に酸で溶けにくいフルオロアパタイトを作るため、ウ蝕予防に効果的」だと考えられていました。フルオロアパタイトとは、エナメル質の成分・ハイドロオキシアパタイトにフッ素が付いたものです。このフルオロアパタイトを作るために、より高濃度のフッ素塗布が行われてきました。

しかし、1980年代に米国フォーサイス研究所のモノレ博士が、フッ素がウ蝕予防効果を発揮するのは「再石灰化促進」であることを発表。この研究結果が、1000ppm程度のフッ化物を配合した歯磨剤の使用後、吐き出して水で口をすすいでも、口腔内に残る低濃度のフッ素でもウ蝕予防に効果があることの根拠となりました。同時に、現在では高濃度のフッ素塗布では、フルオロアパタイトとともに唾液に溶けにくいフッ化カルシュウムがエナメル質表面により多くできることが分かり、そこから低濃度のフッ素が長期間にわたって除放されて「再石灰化を促進すること」が解明されました。

口腔内の細菌は、食物の糖から酸を作り、口腔内のphを中性から酸性に変えます。
歯のエナメル質の成分・ハイドロオキシアパタイトは酸に弱く、酸性になると溶け出します。これが脱灰です。初期の脱灰は歯の表層で起こるため表層下脱灰と呼ばれます。酸性になった口腔内は15~30分間経過すると、唾液で酸が洗い流されて中性に戻り、ここで脱灰も止まります。

その後、唾液中のカルシュウムやリンが脱灰した部分に戻り、再び石灰化し始めます。これが再石灰化です。

脱灰と再石灰化は食事のたびに繰り返されています。脱灰はハイドロオキシアパタイト結晶を破壊するだけなので短時間で進行しますが、再石灰化は、カルシュウムやリンをきちんと積み上げハイドロオキシアパタイト結晶を作り上げるために、脱灰より多くの時間がかかります。

ですから、頻繁に間食などを摂っていると、口の中が酸性でいる時間が長くなり、再石灰化の時間が不足して再石灰化より脱灰が進行して、表層が崩壊し再石灰化困難なウ窩(ウ蝕)になってしまいます。



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