高齢者の歯科治療(9)

一般的の「口腔内清掃」と云うと歯ブラシによる「ブラッシング」を意味することがほとんどですが、舌の清掃も注目したいと思います。口腔内がきれいになると、唾液腺が刺激され唾液の分泌が活発になり、味覚を感じやすくなるだけでなく、食前に舌の表面を動かすことは食事前の準備運動につながり、口腔内の感覚がシャープになって誤嚥性肺炎のリスクを減らすことにもつながります。

また、舌が前後にしか動かない人には離乳初期食から始めると云った口腔機能に応じた調理方法も大切と思います。患者さんのお宅に伺う「訪問診療」を行う際には、口腔内をチェックするやめの小型ライトや誤嚥リスクを確認するため頚部の聴診を行う小児用聴診器などがあると良いと思います。

最初の段階では、摂取水分量やお通じ等の基本的な問診から行い、歯科としてのケアの前にまず、患者さんの生活参加を支援すると云う立場から生活状況を知り、口の中以外の問題点がないかどうかを確認することが大切と考えます。トレーニングや義歯の調整に移行するのはその後と云うことになります。

 経口摂取が少しでも出来れば体内の消化管が働き、栄養分の吸収が上がります。すると、骨格筋量および骨格筋力の低下招くサルコベア症候群が予防でき、さらに体力がつけば咳払いや、少しですが体幹コントロールも可能になって、肺炎の危険性も低下してきます。摂食嚥下障害の予防のための口腔ケアは、全身状態が好転する連鎖へと繋がっていきます。

「訪問診療」と云う機会は、今後さまざまな分野で増加・活発化していくことが考えられます。それは歯科の分野でも例外ではありませんが、ただやみくもにケアをするのではなく、目標を明確にして患者さんの生活参加を支援するような口腔ケアが求められていくものと思います。



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